御朱印旅紀行

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室町時代の話題の歴史本を読んでみる

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歴史は「戦国」と「幕末」だけではない

 今の日本で「歴史」好きというと、「戦国」か「幕末」という人がほとんどです。しかし時間にしたら併せても100年にもならない時代を見るだけで「歴史」を語るのは少しおかしい気がします。

 司馬遼太郎の小説とかNHKの大河ドラマのほとんどがこの時代を扱ってることがその理由かと思いますが、江戸時代には室町時代の関東を描いた「南総里見八犬伝」が人気でしたし、太田道灌も山吹のエピソードなどもっと人となりも含めて知られていました。それが今では「江戸城を作った人」くらいしか一般には知られていないのですから、昨今の歴史ブームとは反対に歴史の知識が退化しているとも言えます。

 「戦国」も「幕末」もそれぞれ天下統一で終わってるから安心感があるというか、話を作りやすいという事情もあると思いますが、それが反対に現代の日本人に「流れに任せておけば何とか良い方にまとまる」という無責任な楽観主義を生んでいるような気がします。

 今回はあまり人気のない「室町時代」の初期から中期までの時代の本を集中的に読んでみました。この時代を特に関東を中心に見ることで、もう少し日本の歴史に対する理解が膨らむかと思います。

 この「戦い」がいつ終わるでもなくダラダラと続き、そして正義が勝つというわけでもない「救いようのない」時代を見ることにより、「平和」というものは黙っていては簡単に失われるという認識が持てるかと思います。

読んでみた本

応仁の乱 呉座 勇一 著

 まずはベストセラーになったこの本です。大和地方というこれまた歴史の教科書では出てこない地域からこの乱を捉える視点が斬新です。

 畠山義就があれだけ暴れまわったあげくに結局は戦国大名としても残らなかった現実はどこか空しいものがあります。

 それから山名氏と大内氏が西軍に付いた事情などもなるほど理解できたのも面白いところです。

享徳の乱 峰岸 純夫 著

 関東30年戦争とも言われる大乱「享徳の乱」。筆者は戦国時代は応仁・文明の乱より十三年早く、関東から始まった。応仁・文明の乱は「関東の大乱」が波及して起きたものであると言っています。

 この「救いようのない」戦いが30年も続き、そして戦いの結果として良い時代が来たわけではないことを私たちは知るべきかと思います。

新田三兄弟と南朝-義顕・義興・義宗の戦い

 太平記で活躍する新田義貞公とそのの息子3人について詳しく書かれています。

 金ヶ崎城で悲劇的な最期を遂げる義顕公。多摩川でだまし討ちに遭い、今では大田区の新田神社に祀られる新田義興公、新田家の嫡男を継ぎ最後まで戦うも歴史の闇に消えて行った義宗公。この3人の戦いを中心に南朝のその後の戦いが描かれています。  

 特に北条高時の子である北条時行や足利直義の側近であった上杉憲顕らと手を組んで足利尊氏に決戦を挑むところ(武蔵野合戦)は大変興味深いところです。

図説 室町幕府

 これまであまり触れられることの少なかった室町幕府の制度面について書かれていて、幕府の概要がわかりやすく述べられています。  

 戦国のドラマばかり見ていると「室町幕府」=「弱い」というイメージで捉えられがちですが 、当事者たちはそれなりの合理性を持って動いていたのがわかります。

 今の日本は中央集権体制で政府が絶対的な力を持っていますが、実はそうではない政治体制もあって、この室町幕府は地域の大名たちがその地域を支配しつつ、中央の政治にコミットする連合政権であることがわかります。この体制が現代の人には理解しづらいことが、ドラマや小説であまり取り上げられない理由かもしれません。

 彼らが中央の政治にコミットできなくなったときに時代は「戦国時代」に突入するわけで、この室町幕府の体制を理解したうえで「戦国時代」を見ると、またさらに面白いものになるかと思います。

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